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世界中が雨だったら  市川拓司

2006.02.01 Wed 17:58

またもや、図書館で借りてきました。
市川さんの新作。
3つの短編集からできてます。

これまた、偶然度が高めで、ちょっと感激。
・・・まさか、返却してあると思わなかったなぁ。

そんなわけで、ネタばれレッツゴー。
続きは↓から(伏せてません)

***

・「琥珀の中に」

いやー、この本は、ちょっとホラーとかミステリーらしいと聞いていたから、少しは身構えて読んでたんだけど・・・。

・・・はい、怖かったです。

中盤までは、本当にフツーのお話で、キスの細かな描写とかなんて「恋愛寫眞」を思い出したり。
主人公の「ぼく」も、いつもの内気な感じで、あぁ市川ワールドだわとほっとしてしまうほど。

まさか、その後にあんな事実が存在していたなんて・・・。
まぁ、ところどころ、怪しげな描写に気づいてはいたけども。

そして、なんと言っても、義父の身体を琥珀(樹脂)の中に入れる描写は・・・想像するとゾッとする。
その上、その琥珀を横目に愛し合えるなんて。
身体の描写も細かいほどに、怖さが増すし。

最初の雰囲気と、後半の雰囲気の違いが、なんとも言えず。

結局、深沢真紀は、いつまであの生活を続けるつもりだったんだろう?
相当な嘘つきで、「ぼく」を騙していたのに、最後はその偽りの生活に彼女自身も囚われてしまったということ。

深沢真紀は義父と、「ぼく=(神田優輔)」どちらを愛していたんだろう?
最後の最後まで、「ぼく」の名前は明かされなかったことは、つまり、指輪の複線をも伴っていたということで。

真紀の本当の気持ちは、謎のままで。
真紀の母親は、あの後どうするつもりなのかな・・・なんて、うっすら気になったり。

***

・「世界中が雨だったら」

本のタイトルにもなっているこのお話。
これまたやっぱり・・・「まさかそうなるとは」的流れ。
いやはやてっきり途中まで、主人公の勝は、夜中にいじめのグループに呼び出されてるんだろうと思ってたし。

これはきっと、他人の手を使った、自殺と言うことになるのかな。

メールを送らなければ、その死は訪れないのに・・・。
お姉さんが、勝の部屋に入っていれば・・・。
と、なんだか悔やまれてならないのは、彼一人が全てを覆いかぶさってしまったからなんだろうな。

同級生の女の子が言った「逃げ」。
でも、ある意味彼は、ちゃんと逃げられたんだと思う。
・・・それが、全てを遮断するという方法でも。

「世界中が雨だったら」というタイトルは、「いま、会いにゆきます」と似たような感じで、やっぱり文章中の言葉だった。

でもでも、同級生の女の子の「逃げればいい」も、勝とお姉さんの「世界中が雨だったら?」という言葉のどちらも、私は納得できないみたい。

「逃げる」のは、もちろんある意味簡単だし、だけど、逃げる勇気があるなら、今を生きれる気もする。

「世界中が雨だったら」・・・ずぶ濡れでもかまわない。
雨から遮ってくれる人、雨から遮ってあげたい人が、きっとどこかにいるって、どうして信じちゃいけないんだろう?
いつかは、晴れ間が覗くって、祈っちゃいけないんだろう?

もちろん、心の底から打ちのめされている時に、自発的にそう思うのは難しいけど、勝にはおねえさんがいたように、きっと「逃げる」とか死ぬとは違う勇気があれば、もっと変わっていたんじゃないのかな?

勝の自殺が失敗だったのは、彼にとって絶望なんだろうか?希望なんだろうか?

***

・循環不安

ま・さ・か、主人公が犯人だったなんて!
それも、途中まで、市川ワールド的内気な人物だったのに・・・。

それぞれの描写は怖いし、精神的部分も危ういし・・・。

う~ん、彼には、共感できなくもないけど、したくはないなぁと。

で、このお話で最大のビックリは、最後、逮捕されなかったこと。
てっきり、捕まると思って読んでたのに、最後あっさりでビックリ。

どっかに、前二つのお話みたく複線があると思って、慎重に読んでたのに。
なんだか拍子抜け。

・・・それとも、最後のドライブの部分は、彼の妄想だったとか。
(↑コレこそ妄想だけど、今ふと思った。)
安定剤が切れて、車にぶつかって・・・目が覚めたら警察病院でしたなんて。

***

全体的な感想をといえば、やっぱり怖かったこと。
心の描写も、身体的描写も、細かい分怖い。

市川さんだから、簡単なお話ではないだろうなと思っていたら、その通りで。

「世界中が雨だったら」という一つのお話のタイトルだけど、全体的にも、このタイトルに凝縮されていたとも思う。

「世界中が雨」のような状況下で、逃げるとか、死ぬとか。
そして、最後のお話が、逮捕で終わっていないことも、それを表しているようで・・・。

「心の闇」、って言うけれど、この三篇は本当にそんな感じだったみたい。

今までより、本自体の雰囲気も違ったし、内容も違くて。
同じ作家なのに、これほど違うというのも、つまりそういうことなのかもしれないなぁ。

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